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「従業員の健康被害の上に『企業利益』などあってはならん!」溶接のヒュームガスが?
2021/05/21
令和3年4月1日より、金属電気(アーク)溶接作業時に発生する「ヒュームガス」が人体に悪影響であることが確定し特定化学物質に指定!!!、既に法律が改正され施行されている。(1年間の猶予期間あり)
様々な業種の工場に於いて、アーク溶接を使用する企業は、その使用頻度に関係なく適用されるとのこと。街中で見かける「鉄工所」などで、バチバチと青白い火花を出している工場を見かけたことがあると思う。
一方、我々自動車「鈑金塗装工場(BP工場)」でも金属アーク溶接は使用する。となると今回の「法改正」は適用となるので早速、厚生労働省労働基準監督署の指示に従い、先ずは「工場内の環境測定」を実施した。
本日、その環境測定に専門業者に来て頂き、法律に基づいての測定方法でその有害なヒュームガスがどのくらい発生し、作業者にどのくらいの影響や負担があるのかを測定するという。
ほう!これが測定器か・・・、(松岡BP統括部長)。
この測定器を、現場技術者に装着する。先ずは溶接作業が得意な「長川鈑金(車体整備士)」に取付られた。
続いては、同じく鈑金スタッフ「辰巳鈑金リーダー(車体整備士)」にも・・・。
自動車業界では初めての計測ともあり、業界専門誌「ボディーショップレポート(BSR)」の記者・編集長も取材に来られた・・・。同業者の方々にも今回の法改正はかなり注視している!!!!。
<さて、計測準備>:アゴの下の吸引から後ろのポケットに計測機を取付て 、溶接作業の時にどれだけの有害物質を吸引しているかを測定するとのこと・・・。(ふ~ん・・・、なるほど・・・)
約40分の作業を想定しての溶接を行うことになる・・・。(ん?40分も???)
「はい、それでは始めて下さい!測定時間が来るまで溶接を続けて下さいね!途中研磨作業なんかも入れてもらっても結構です約40分間です!」(なに?40分も?はぁ~?)
こちらは「長川鈑金技師」、「な~んかチューブ付けられて後ろのポケットになんか機械入れられてやりにくいな~!なに?40分も溶接するんかい?自動車修理で40分も溶接する作業なんかないど!」(ブツブツ言うてんとやり~や!笑)
「はい、は~い。(バチバチバチ!)」、「こんなん、昔からやってるけどマスクなんか付けたことないで~!」(これからは、マスク付けてや!)
これフィルターについている有害物質・・・。ん?新品と比べて???
ほぅ!結構黄ばんでるな~!!!、タバコのフィルターみたいやな。「長川さん!ず~っと火花散らしてたんちゃうんかいな!」(辰巳鈑金リーダー)。
「しゃけど、ワシらは自動車のパネル繋げるだけに溶接をするんやで!40分もバチバチやらんで!ようやっても『5分前後やで!』40分もバチバチ車のボディーを溶接したらパネル溶けてまうわ!『戦車でも作らせる気か?』こんなん敢えて有毒ガスが出るような測定したらそりゃなんかの有害な化学物質がでるやろに!そんなんおかしいわ!」(〇〇氏のコメント)。
「は~終わった、終わった!もう、このチューブいややわ!早よ~外して~や」、「ハイ!今外しますね、ご苦労様でした!これで計測は終わりです!(汗)」。
「2週間ほどで、どのくらいの「粉塵や有害ガス」が吸い込まれているかを報告しますので、その数値によって必要な防護服やマスクを事業所で用意して頂くことになります。」これで計測完了。(費用:約10万円也!)
編集後記>:平成26年(2014年4月)には、シンナー系塗料が問題になり、ビジレンビーテックは早々に「水性塗料」に切り替えていった。塗装技術者にはかなりの作業負担をかけ、また設備投資にもかなりの負担・・・、しかし働く従業員の健康被害の上に企業利益などあってはならない!(代表取締役:西村社長・談)とし。門真工場・東大阪工場も「水性塗料」に切り替えた。今度は「溶接作業における工場内の環境」が問題視され本年4月より法制化された(猶予期間:1年)。その内容は簡単に以下の4項目。
①測定業者による、ヒュームガス発生の「環境測定」の実施。
②環境測定結果で、保護具・防護服の選定され、作業者はその選定された物を溶接作業の時に使用する。
③特定化学物質作業主任者の専任(2日間の主任者講習を受講した者に限る)。
④作業従事者(鈑金スタッフ)は6カ月に一度「特別健康診断」(一般検診とは別)を受診。
特筆すべきは、①ないし④が義務付けられ、④については、管轄する労働基準監督署(安全衛生課)に報告することも義務となる。
今回の法改正は、どう考えても「鉄工関連工場」などが、丸一日中「溶接作業」を行う従業員に対しての健康被害があるとして今からその予防対策を、政府が関連企業へ法制化として課せられたものと考えられます。管轄する「労働基準監督署(安全衛生課)」に、その溶接の使用頻度での選別はないのか?と質問にも現段階ではない、極端ですが365日8時間の溶接作業をする「鉄工所」も、1年間に数回10分以下の作業をする「自動車関連整備工場」も同じく適用される!とのことを聞き、防護服や保護具が変わるだけで①及び③ないし④は義務付けられるとのことです。
時を同じくして「建設現場でのアスベスト(石綿)被害での最高裁判決は『国とメーカーに賠償責任がある』との統一判断をした」と報じられました。働く従業員にはその職場や職種が自身の健康を損なうか否かの判断は出来ません。法制化されたからではなく、企業にとり最も大切な従業員技術者の職場環境を整えて安心して働いて頂けるようにするのは「国であり企業!」であるべきと考え、今回は①ないし④を出来るだけ早期に整えることが重要と考えます。
「従業員の健康被害の上に、企業利益などあってはならない!」(取材・撮影・編集・文責:辰巳寛一)
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