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整形手術!ベンツSE280 1970年式遂に!「オペ成功」50年前の鉄板を見事復元!
2019/04/10
先日入庫した「1970年式:ベンツSE280」のオペが成功した!感動の仕上がり!これぞ「職人技」。執刀医は「辰巳:自動車車体整備士」(経験歴:23年)のベテラン鈑金技師。
昔のベンツは鉄板が分厚く固いので以外と鈑金作業には自信がありますよ!ただ失敗した時は部品が無いので優しく、優しく叩いてあげないと隣接する弱くなった部分が心配です。と語る辰巳鈑金技師。
塗装は「津村(一級塗装技能士)氏」(経験歴:23年)に決定!外資系塗料(アクサルタ・旧:デュポン製)の使い手でもある。「俺にぃ~~、任せとけ~!」(どっかで聞いたセリフ)。
今回入庫して来た「1970年式ベンツ280SE」半世紀近く(49年間)走り続けている世界の名車である。オーナーも当然大切に乗られていることだろう・・・。その工程を今回最後まで取材することに成功した。
<分解~鈑金作業工程>
キズが付きやすい部分には保護用のマスキングテープを貼り付けていく。この後ヘッドライトやバンバーも外される。
いよいよ、ハンマリングによる鈑金作業、この湾曲を修復するのはかなり難しい作業である、慎重に優しく・・「コンコンコン」。
表面塗装を削って鉄板を直に鈑金する。「お~!50年前の鉄板がむき出しに」
鈑金作業の優劣をつけるとするなら、この鉄板を極限まで復元すること。パテは出来るだけ「薄く、薄く」する為に鉄板だけで形を成型する、ボディーラインまでしっかりと鉄板で出されている。しかし塗装を剥がしてビックリ!ボディーの鉄板はなんと美しい。完璧な塗装をされているのだろう。レストアは何処の会社が行ったのだろう・・・。
<パテ付け作業工程>
最終チェックを「迫田工場長」に確認してもらう、ヘッドライトのメッキグリルを合わせてみて復元状態を確認する「OK!パテで仕上げよ!」
粗、鉄板が見えている状態、如何にパテ付けを薄くしているのが分かる。「お見事!」これで一旦は鈑金作業は終わり、塗装工程に入る。
塗装工程に入るまえに更に下地作りをする、「サフェーサー」と言われる、お化粧でいうと「ファンデーション」のようなものでより細やかに下地を作る。
ハイエースなど大型車まで入る塗装ブースも所狭しと一杯一杯である。
まるで「オペ着」を着ているように塗装部分だけを露出させ他の部分は丁寧に「マスキング」されている、さ~いよいよ塗装に入る。
その前に、鉄板の隙間に溝があったので万が一ここに雨水が入ったら腐食の原因にもなるので念の為に細かいところまで気を使う。
<ペイント作業工程>
先ずは、調色を終えたベース塗料のペイントから入る、色を合わすのにも結構な時間がかかったという、当時の純正色なのでデーターはあったが、中々微妙なところで「数滴単位」で配合していった。
ベース塗料が終わったら次はクリアーを吹き付ける、これで見事な艶やクリアの肌が決まる!
丁寧に丁寧に塗り重ねていく。これで塗装工程は終了。ブースから出ていくことになる。
ブースから出して、乾燥機で表面を60℃で塗料を完全硬化させる。完全に乾燥してからボディーチェックに入る。
お~!ノンポリッシュ(磨き前)でこの仕上がり、磨き作業の大幅な短縮になる。「ブツ(ホコリや気泡)」などは少ない方が当然磨く時間が少なく艶引けも無い。
塗装の最終チェックは、松岡統括部長が行うその後の磨き作業もである。磨きながら仕上げチェックをおこなっているのが「ビーテックスタイル!」、ブツは細かいのも合わせて「3か所」、「よっしゃ、合格や!」このあと再度鈑金技師による組付けに移る。「参考までに、テュフTUVプラチナ工場監査では1パネルにブツは5か所以上でNGとなります」(厳しい!)
「迫田工場長!バンパー仮止めする間、手を貸して下さい!」「あいよ!」と工場内ではこのような連携の掛け声が結構響いている、これぞ「チーム・ビーテック」
よっしゃ、OKです。しかし重たいバンパーやな~、鉄の塊みたい。
本組付けする前に、電気関係の点検。全てOK!さぁ~組付けするぞ。
<完成検査!と納車手入れ>
ビフォーアフターはこちら。湾曲の光沢がかなり綺麗に復元されている。
納車前の最終点検と洗車。木漏れ日を浴びて蘇った「ベンツ280SE」お客様の喜ぶ顔が早くみたい。オーナーも待ち焦がれていることだろう。
いよいよ納車に向かう「松岡BP統括部長」業界一筋45年、左ハンドルも馴れたもの!「ほな行ってくるわ!」颯爽とエンジン音と共に向かって行った。
<編集後記>:今回貴重なお仕事を頂いた、大東市御供田4-75-1「㈱ラッキーオート」長尾社長様、ありがとうございました。往年の名車「ベンツ280SE」今から半世紀近く(49年前)に誕生した。未だに現役で走っていることに驚きました。エンジンも一発始動、排気ガスも無色。室内に乗ると幼いころに体験した独特な香り。
50年前の車と今の車を比べたらかなりの進化を遂げていることが実感しました。先進安全装置が取り付けられ、自動運転がささやかれ、エンジンは全てがコンピューター管理。しかし、信念だけは変わらず時代、時代に真剣に安全を追及してきているのには変わりないことがわかる。信念の証はあのベンツマークは変わりない。
今回、執刀に当たった2人の技術者「辰巳鈑金技師」と「津村一級塗装技師」に話を聞いてみた、辰巳鈑金士は「とにかく慎重に作業をおこなった、ボディー本体の鉄板は50年前とは思えないほど美しく頑丈であり、昔の鉄板は分厚いのでハンマーでの叩き出しが思うように出来た。ただ端々の部分はやはり劣化がみられ今回その部分も修復・補強もした、また電気ソケットなども今の車のようなソケット式ではない為基盤がむき出し、配線を切らないように注意した」とのこと。
一方「津村塗装士」は、50年前の車なのでボディーの裏側などにも色々な不純物(泥や油)が付着しているので、それを除去するのに時間がかかり神経を使った、塗装するのに「脂分」は大敵、塗装してもパ~!と弾いてしまう。なのでボディー表面は当然ボディー裏側にいたるまで「シリコンオフ」シリコンを取り除く溶剤で何度も、何度も拭き上げてからの塗装作業になる。しかし、今まで数百台以上このような車両は経験があるので、少し昔を思い出し出来上がった時には達成感があった。
このように、最近では少々凹んだパネルも直ぐに交換となるが、それはメーカーに新品パネルが流通しているから時間をかけるより交換したほうが「安く」なるケースが圧倒的に多い。
パネル鈑金(ハンマーでの修復)をする機会が圧倒的に減ってきているので、腕を試す時が少なくなって来ているのも現実で時流では仕方がないこと。しかし重要なのは交換と判断する職人は、「パネル鈑金は出来るが効率を重視して交換」するのは良い、しかし「パネル鈑金が苦手で出来ないから交換」と判断は絶対にしてはならない。丁寧に早くパネル鈑金をするのが職人の課せられた本文であることを決して忘れてはならない。
塗装に関しても、東大阪工場では「水性塗料」を進めているなかでも今回は敢えて外資系塗料(アクサルタ・旧デュポン製)で塗装したのもそれなりに理由があったのだろう。開発が進められている「水性塗料」ではあるが、50年前の車両にマッチングするかなどはどうしても信頼性に欠ける、よって今回は外資系塗料を使いこなす「津村一級塗装士」が行った。
技術があるから、「技術者」と呼ばれる、責任をとれるから「責任者」と呼ばれる、ビーテックは「技術者」の集まりであります。常に腕を磨き自動車と共に進化を遂げていきたいと考えます。
今回、作業中に撮影などで邪魔をしてしまいましたが世の中の方々に我々の技術を知ってもらいたいのでこれからも機会があればドンドン取材をさせて頂きます。(取材・撮影『一部大谷塗装士』編集・文責:辰巳寛一)
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